ペルソナ4 その3

第4章 〜友〜

ここまで書いてきて、やはり自分の中で的を得ない感情が其処彼処に浮かんでいる。
読者の方々は追いてこれているだろうか。まとまりのない文章。ちゃんと読めるものになっているのだろうか。
伝わっているのだろうか。全く意味のないものになっていても仕方がないのかもしれない。
あまりにも多すぎるのだ。ひとつひとつ並べていっても、どこかで抜けてしまうかもしれない。
それでもこれは書き続けなくてはならない。
他のすべての仕事を放棄してもだ。これを書き記すことが僕の今やるべきことであり、使命であり、この出会いはそういう運命なのだ。
そう僕の心が確信している。

ここで一応確認しておこう。
僕はペルソナ4(彼もしくは彼女)に関しての前情報は一切なかった。どんな内容かも、どんなゲームかも知らなかった。
知っていたのはRPGであるということ。そしてペルソナ1のみプレイしたことがあるということだけだ。

正直なところ、始めたばかりの段階で奇妙な違和感を感じていた。そしてひとつの疑問にたどり着いた。
「これがあのペルソナなのか?」僕のペルソナはダークなイメージだ。暗くて、生々しくて、おどろおどろしい。
悪魔と神が登場するファンタジーなのに現実を突きつけられるような、心をえぐられるような、そんなイメージだ。
シンプルに言えば、女神転生の学生バージョン、という立ち位置だった。
しかしペルソナ4のイメージはポップだ。殺人事件という内容を取り扱ってはいるが、基本的なデザインや最初にイメージするカラーは黄色だ。(テーマカラーは黄色と公式でも言っている。)

想像していたゲームとは違うものだった。
キャッチーなデザイン、ポップなキャラクターデザイン、明るい話題、ボイス付きのセリフ、明るい楽曲。
音を出すことでより違和感は増した。
しかし、殺人事件という謎のせいか、どことなく不穏な空気が流れている。
明るさの裏にある闇がより鮮明に感じる。
そのおかげで、「ペルソナ」シリーズへの期待を壊すことなく続けてプレイすることができた。

ここでひとつ話しておこう。自分の中であまり受け付けないものがある。
ゲームにおけるアニメ挿入シーンとボイス付きセリフ。そして萌え要素。
偏見もあるが、日本のアニメは「萌え要素」をどうしても感じざるを得ないものが多い。
ガンダムは好きだ。大好きだ。アニメは好きだ。
しかし近年のアニメはどうにも受け付けがたい。これが時代の変化なのだろう。それは仕方のないものだ。
いつだって時代が求めるものが世を埋め尽くしていく。それでもこの時代を生きていかなくてはならない。それが嫌ならこの星を脱出するか、海外に行くかだ。

ともかく、自分はどうにもその辺の類のものが苦手だ。
ペルソナに関してはかなりギリギリのラインだと感じていた。しかし、その萌え要素すら逆に利用している感じもする。

音を出してプレイしていても、殺人事件の先が気になるので、そこまでその部分に興味は持てなかった。
しかしゲームを続けていく中で、自分の中のある変化に気づく。
いや、変化しつつあるものといったほうが正しいだろう。

陽介というキャラクターがいる。同じクラスで主人公を相棒と呼ぶ。
始めの頃はなんとも思っていなかったのだが、気づけば陽介の話に期待している自分がいる。
そして喋る単語のボキャブラリーがかなりおもしろい。下手なお笑い番組よりもよっぽど面白いセリフ回しがある。
所謂、基本ツッコミ役だが、ボケ役も担当する。チームのムードーメーカーだ。

いくつか書きたいのだが、ネタバレになってしまうし、話の流れがないと面白くもなんともないのでやめておこう。

陽介のセリフが面白いのでついついボイスを全部聞いてしまう。
自分の文章を読むペースで考えると会話のテンポ的には少し遅くなってしまうのだが、それでもボイスを聞いてしまっている。
というかもはや、文章を読まずにセリフだけで内容を把握している自分がいる。

その延長線ですべてのキャラクターのボイスを聞いてしまっている自分がいた。
まるでその仲間の中に自分が本当にいるかのように。

そしていつしか陽介のことを相棒と思っている自分がいる。親友だ。
戦闘シーンでもセリフはある。「いくぜぇ!」とかご想像の通りの戦闘セリフだが、それだけではない。
主人公が何かやると「さすが相棒!」とか言ってくれたりする。さらに主人公が倒れたりすると「大丈夫か!?」と起き上がらせてくれたりする。

残念ながら自分で名前をつけれるゲームなので、主人公の名前だけはセリフがない。
願わくば、声優の森久保 祥太郎さんに「よう!畠山!」と名前の部分も呼んでもらい、それをサンプリングして、ゲームしながら使いたいものだ。

どうだろう?君には親友と呼べる人間はいるだろうか?相棒を呼べる人間はいるだろうか?
ペルソナという秘密を隠し持った二人だからこそ固い関係が生まれた二人。
現実世界ではこうはいかない。絶対に裏切らない人間なんているのだろうか?僕には答えることができない。
ペルソナ4はそんな疑似体験をもたらしてくれる。この現実世界で有り得そうで有り得ない夢の体験だ。

陽介。ありがとう親友。いや、相棒。生きてきて初めて出会えた相棒に感謝だ。

つづく